G7広島サミットでは何が決まったのか!? プラごみ問題の無視できない変更について

ゼレンスキー大統領の電撃出席によって、ウクライナ問題の印象が強くなってしまった「G7広島サミット」ですが、2023年5月21日に無事閉幕しました。そして、これに先駆けて行われた「G7気候・エネルギー・環境相会合」によって、プラスチックごみに関する新しい目標が設定されました。

気候・エネルギー・環境相会合とは

「G7気候・エネルギー・環境大臣会合は」、G7サミットに関連して開催される閣僚会合の一つです。サミットにおける議論の基礎ともなる重要な会合で、「グリーントランスフォーメーション(GX)」のグローバルな推進等について議論します。

今回のサミットでは、4月15日と16日の2日間、北海道札幌市で開催されました。

気候・エネルギー・環境相会合での議論内容

この会合では、国・都市・地域・産業・ビジネス・ライフスタイル等の多様な切り口から、GXについての議論がされています。

脱炭素社会の実現に向けて

「脱炭素社会の実現に向けて」というテーマに関しては、たくさんの取り組みが協議されました。

自動車分野の脱炭素化

G7各国で二酸化炭素の排出量を2035年までに2000年比50%に削減できるよう、進捗を毎年確認。

合成燃料

工場などから排出された二酸化炭素を原料として製造する「合成燃料」の技術開発の必要性が強調。

石炭火力発電

廃止時期は明示しない一方で、石炭や天然ガスなどの化石燃料については、二酸化炭素の排出削減の対策が取れない場合には段階的に廃止

各国のエネルギーや経済の事情は違っても、地球規模でカーボンニュートラルを目指すという基本方針は変わらず、このような決定がなされました。

プラスチックごみゼロに関する合意

プラスチックごみゼロを目指す目標としては、京都議定書を発端とした「2050年カーボンニュートラル」がありますが、今回はこれが変更になりました。

2050年カーボンニュートラルとは

「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。

2019年に開催されたG20大阪サミットでは、「プラスチックによるさらなる海洋汚染を2050年までにゼロにする」という長期目標が合意されました。

そして、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指し、2020年に「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。

この長期目標は、日本だけではなく、120以上の国と地域が目標として掲げています。

プラスチックごみゼロを目指す目標の前倒し

プラスチックごみに関しては、次のような内容の合意がなされました。

プラスチックごみ

生き物などに悪影響を与え、海洋汚染を引き起こすプラスチックごみによるさらなる汚染を2040年までにゼロにする

これは、「2050年カーボンニュートラル」が10年前倒しされた変更になります。

G7各国のリサイクル施設の整備が進み、プラごみを減らせる環境が整ったことで目標を早められるとの見方から、一致に至りました。

世界でのプラごみ削減

京都議定書やパリ協定によって、日本を始め世界各国で、プラごみ削減の対策がされるようになっています。

日本・プラスチック資源循環促進法の施行

2022年4月1日より施行された「プラスチック資源循環促進法」によって、全国チェーンの大手スーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店などを対象に、使い捨てプラスチック製品の使用量削減が義務付けられました。

これによって、各企業は使い捨てプラスチック製品の有償配布やエコ素材製品への切り替えを行う必要に迫られました。

世界各国でも脱プラスチックへの取り組み

日本以外の国々でも、脱プラスチックへの取り組みが活発に行われています。

アメリカ

2014年に小売店におけるプラスチック製のレジ袋を禁止する法律が成立したカリフォルニア州では、客からの要望がない限り、2019年から使い捨てストローが廃止となった。違反者には1日あたり25ドルの罰金が科されている。さらに、2021年には、2030年までに固形廃棄物のリサイクル率を50%に高めるための「国家リサイクル戦略」が米国環境保護庁より発表されている。

中国

2025年までにプラスチックごみを削減するための目標や、プラスチック製品の管理を強化する取り組みが記された「プラスチック汚染改善行動計画」が、2021年に発表された。そこには、小売りや飲食、ホテルなどでの使い捨てプラスチック製品の使用を減らす求めや、プラスチック代替品の普及などについても記されている。

フランス

2040年までに全ての使い捨てプラスチック包装をなくす目標が設けられ、2016年には、世界で初めて、使い捨てのプラスチック食器類と持ち帰り用のフード容器の製造と販売を禁止する法律を制定した。さらに、2022年からは、全ての小売業において野菜と果物のプラスチック包装が禁止となった。

ルワンダ

ルワンダでは2008年からすべての使い捨てプラスチック製品の使用禁止を法律で定めていて、プラスチック製のアイテムを所持しているだけで、最長6カ月の懲役に処せられる可能性がある。さらに、国境の検査所では車両内のプラスチック製品が捜索し、対象の製品があった場合は入国前に没収するほど脱プラスチックを徹底している。

まとめ

世界各国が環境問題に注視するようになってから、プラスチック製品への風当たりは年々強まっています。さらに、今回の「目標達成10年前倒し」の変更のようなこともあり、脱プラスチックへの対策が後手に回っていると、取り返しのつかないことになってしまいます。時代を先取りできるような早めの対策を行い、いかなる変更にも適切に対応できる環境でいたいものですよね。

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■参考資料
G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合 | 環境省 (env.go.jp)
G7環境相会合 閉幕 自動車分野の二酸化炭素排出50%削減へ合意 | NHK | 環境
カーボンニュートラルとは – 脱炭素ポータル|環境省 (env.go.jp)

この記事を書いた人

チェーンストリーム株式会社 編集部ご覧いただいた担当者さまの新しい気づきや行動につなげられるような記事を執筆しています。編集部には、商品企画、マーケティング、EC事業部、CFP保持者などのメンバーも携わっています。