タピオカの容器も対象となる!?台湾プラスチック製品の使用規制とは

古くは「台湾プラスチックグループ」を起源とする、台湾のプラスチック産業の成功。国際的な知名度を誇る台湾のプラスチック産業は、世界で六番目の輸出量を誇り、世界を牽引する役割を担ってきました。

しかし、最近の台湾国内ではプラスチック製品に対する風当たりが強くなり、名物のタピオカドリンクのプラスチックカップでさえ、使用が全面禁止になる状況になっているのです。

台湾とプラスチック製品

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台湾とプラスチック製品の結びつきで外せない存在が、1954年に設立された「台湾プラスチックグループ(台塑集團)」です。

1980年代には、台湾の民間企業として総資産・売上高・従業員数で首位を維持し、2010年の売上高は同年の台湾のGDPの約15%にも相当する規模に成長しました。

台湾で脱プラスチックの動きが加速

プラスチック食品容器による製品テイクアウト文化が盛んな台湾ですが、2018年に行政院環境保護署は環境保護団体と共同で、「台湾海洋廃棄物治理行動法案」を発表し、「使い捨てプラスチック製品の削減および使用制限(スケジュール)」を明らかにしました。

この中にある「行動法案」の中で対象とされている各品目についての内容は、次のようなものになっています。

プラスチック製レジ袋への規制

プラスチック製レジ袋については、2002年から「プラスチック製レジ袋およびプラスチック類使い捨て食器使用制限政策」が推進され、段階的にプラスチック製レジ袋の使用規制が開始されました。

その後のいくつかの変更を経て、プラスチック製レジ袋は2025年には全面的な使用制限、2030年には全面的な使用禁止となる予定です。

使い捨てプラスチック製食器

使い捨てプラスチック製食器に関しての規制は、プラスチック製レジ袋から数カ月遅れましたが、2002年から「プラスチック製レジ袋およびプラスチック類使い捨て食器使用制限政策」が推進されています。

さらに、2006年からは、政府機関内や公私立学校の食堂での使い捨てプラスチック製食器の使用を禁止し、観光ホテル内のレストラン等で、再使用可能な食器へ切り替えることを決めました。

今後、使い捨てプラスチック製食器も、2025年には全面的に使用制限、2030年には全面的に使用禁止とする予定になっています。

使い捨てプラスチック製コップの制限

使い捨てプラスチック製コップは、2011年の「使い捨て持ち帰り用コップの供給量削減及び奨励金回収実施方法」によって規制が強化されていました。

それでも、他の品目に比べると規制は緩いものであり、ファストフードチェーンなどに自身の飲料容器を持参した消費者に対して割引や増量などの優遇サービスを提供するなどの規定でした。

しかし、今後は2025年に全面的な使用制限、2030年には全面的な使用禁止となる予定です。

使い捨てプラスチック製ストロー

使い捨てプラスチック製ストローは2019年から、政府機関や学校、ショッピングセンターやチェーン展開するファストフード店などの事業者を対象に、店内飲食時の使い捨てプラスチック製ストローの提供が禁止されました。

2020年にはプラスチック製ストローの提供を禁止する事業者がさらに拡大されていますが、2025年には全面的な使用制限、2030年には全面的な使用禁止予定となっています。

プラスチックの代替製品使用でさえピンチに!

時代や政策の変化によって、今まで使用してきたものが使えなくなった場合、代替製品は力強い味方になります。

しかし、最善の策に思えるような代替製品でさえ、使用できなくなることがあるのです。

生分解性プラスチック

使い捨てプラスチックの規制を心配する場合、「生分解性プラスチック」製品を代替製品とする企業が多くなります。

生分解性プラスチックとは、一定の条件の下で二酸化炭素と水に分解する性質を持つプラスチックのことです。

生分解性プラスチックには、トウモロコシやジャガイモなどの植物デンプンを由来とする、ポリ乳酸(PLA)からつくられたものがあります。しかし、化石燃料由来のものや、有機資源由来と化石由来の組み合わせによるものもあります。

台湾では生分解性プラスチックでさえ使用禁止に

2023年2月3日、台湾の環境保護署は、主要施設で生分解性プラスチックの一種であるPLAを使用した使い捨て食器の使用禁止を発表しました。

生分解性プラスチックと言われる全てのものが、自然の環境で必ずしも簡単に分解されるわけではないからです。

生分解性プラスチックに使用されるポリ乳酸は、一定の温度と湿度が保たれたコンポスト中では分解します。しかし、土壌や水環境では分解されず、海に流れ込んだとしても、自然には分解されないのです。

環境にやさしいというイメージのある100%植物由来の原料を使った生分解性プラスチックでさえ、使用禁止になってしまうのです。

日本では植物由来のプラスチック原料量産へ!?

台湾の主要施設では、ポリ乳酸を使用した使い捨て食器の使用禁止が発表されました。しかし、日本企業では、植物由来のプラスチック原料を量産する動きが始まり、1万〜2万トン規模の国内生産を始める予定になっています。

まとめ

世界のプラスチック製品業界でも存在感を放っていた台湾でさえ、脱プラスチックの傾向が強まっています。さらに、安心だと思われていた「プラスチック製品の代替製品」でさえ規制の対象になるという状況に陥っています。

そして、このようなリスクは台湾だけのものではなく、世界中の企業で代替製品に関しても対策を講じる必要が迫っているのです。

■参考資料
管制規定與成果(111年7月正式上路) – 行政院環境保護局

この記事を書いた人

チェーンストリーム株式会社 編集部ご覧いただいた担当者さまの新しい気づきや行動につなげられるような記事を執筆しています。編集部には、商品企画、マーケティング、EC事業部、CFP保持者などのメンバーも携わっています。