SDGsは一時的な流行ではなく、今や日本人の生活の中にすっかり溶けこんでいます。
本来、「SDGs(持続可能な開発目標)」には、現代のあらゆる問題が含まれています。しかし、日本では、SDGsと環境問題がセットになってクローズアップされることが多くなっています。
環境配慮型製品の必要性について
SDGsの浸透とともに、地球環境に配慮した商品を意識的に取り入れる「エシカル消費」も注目されるようになっています。
通常の商品と比べて、サステナブルな商品は価格が高めなことが多いもの。しかし、それにもかかわらず、「天然由来の成分や素材で作られた商品」なら価格が高くても購入するといった消費者も多くいます。
これからの食品業界において、「環境問題に配慮している企業」というブランディングを行う際には、より環境に配慮した食品容器を使用することが必要な時代なのです。
従来のプラスチック製食品容器とは
食品の容器や包装として頻繁に利用されている素材として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)などがあります。
これらを原料とする食品容器を作る際の二酸化炭素排出量は、製造工程によって異なります。
日本プラスチック工業連盟の調査によると、プラスチックの代表例であるPPやPEは、燃焼させると1kg当たり理論上約3.1kgの二酸化炭素が発生するとされています。
さらに、東京都環境局によると、プラスチック1kg当たりを製造から処分するためには5kg程度の二酸化炭素が排出されるとされています。
また、1tあたりのプラスチック製容器包装を製造する際において、差し引きの二酸化炭素排出量は1.92tというデータもあります。
このように、プラスチック製の食品容器を使用し続けることは、環境に大きな負荷をかける結果となるのです。
環境配慮型食品容器の比較
環境問題に対する意識の高まりから、環境に配慮した食品容器が登場することになりました。
紙やバガス製のエコ容器は、食品容器としてバリア性や耐水性の機能性を持たせるために、PPなどの複合素材でできた製品があります。
しかし、新たに登場した環境配慮型の食品容器であっても、それらのプラスチック使用量や、製造・処分する際に排出される二酸化炭素の量には大きな違いがあります。
それらには、どのような違いがあるのでしょうか。
プラスチック使用量と生産時の二酸化炭素排出量の一例
代表的な環境配慮型食品容器について、それらを比較していきたいと思います。
食品容器 | プラスチック使用量 | 削減できる燃焼時の二酸化炭素排出量 (プラスチック100%との比) |
---|---|---|
①紙配合のPP製品 | 約49% (重量比51%が紙、49%がPPの場合) | 約30%削減 |
②でん粉配合のPP製品 | 約40% (重量比60%がでん粉、40%がPPの場合) | 約57%削減 |
③バガスのラミネート加工製品 | 約12% (重量比88%がバガス、12%がPPの場合) | 約88%削減 |
①紙配合のPP
紙配合のPPでつくられた食品容器は、原料にPPと紙パウダーなどを混合させた素材を使用しています。製品によって、配合されているPPの量は異なります。
紙配合のPPの食品容器は、含まれるプラスチックの量がプラスチック100%の製品に比べて少なくなります。そのため、生産時の二酸化炭素排出量を削減できます。
紙が全体の51%配合された製品の場合では、下記のような二酸化炭素排出量の削減が可能です。
・製造時の二酸化炭素排出量…約35%削減
・燃やすときの二酸化炭素排出量…約30%削減
②でん粉配合のPP
でん粉配合のPPでつくられた食品容器は、PPとトウモロコシなどからできたでん粉を混合させた素材を使用しています。製品によって、配合されているでん粉の量は10%~50%と幅があります。
でん粉配合のPPの食品容器は、含まれるプラスチックの量がプラスチック100%の製品に比べて少なくなります。そのため、生産時の二酸化炭素排出量を削減できます。
でん粉が全体の60%配合された製品の場合では、下記のような二酸化炭素排出量の削減が可能です。
・製造時の二酸化炭素排出量…約35%削減
・燃やすときの二酸化炭素排出量…約57%削減 ※カーボンニュートラルの適用
③バガスのラミネート加工製品
サトウキビから砂糖を作る過程で生まれる繊維質の「バガス」。
丈夫で軽く環境にもやさしいというメリットを持つバガスの食品容器ですが、スープや汁物などを長時間保管することに向いていない・底部にご飯がくっついてしまう、などのデメリットもあります。
そのデメリットを解消する際に、PP等のラミネートを施す場合があります。その際に使用されるラミネートフィルムの厚みは非常に薄く、20μm(0.02mm)から60μm(0.06mm)程度になっています。
容器の重量やラミネートの厚みによって差がありますが、弊社の製品「ランチボックス450ml ラミ加工」の場合、全体の重量に占めるラミネートの割合は約12%です。そのため、焼却する際に排出される二酸化炭素量を、大幅に削減することができます。
さらに、バガスを原料とした製品を可燃処分した場合、「カーボンニュートラル」の考え方が適用されます。サトウキビが成長段階で吸収した二酸化炭素が大気中に戻るとされ、二酸化炭素の排出量は「プラスマイナスゼロ」であると考えられるのです。
ですから、燃焼した際に発生する二酸化炭素排出量は、バガス以外の素材から発生したもののみとなります。
プラスチックは、石油資源の枯渇や地球温暖化の観点からSDGsと深く関係しています。SDGsの浸透により、環境に配慮した食品容器を使用することが当たり前になった現代。使用する環境配慮型容器の種類によっても、企業・店舗のイメージアップとビジネスチャンスの拡大が期待できます。圧倒的な環境への優しさを消費者にアピールできるバガスの導入を、検討してみてはいかがでしょうか。
お客様の課題にお応えします
食のトレンドは常に大きく変化していて、次に来る流行を予測することは大変に難しくなっています。時代の波に乗って話題を集め繁盛する飲食店でいるためには、時代に即した迅速な変化を遂げていくことが必要になります。店舗の内装やシステムを変えることは負担が大きくなりますが、使用する食品容器を変更することで、迅速な対応が可能になります。
「食品容器をプラスチックからエコ容器に替えたい」「環境対応容器には替えたいけど、機能性は確保したい」など、環境対応と機能性の両立についてのご相談を多数頂いております。
チェーンストリーム株式会社では、バガス素材をベースに環境負荷の低い素材を選択したり、使用する量を少なくしたりと工夫をしながら、日々、製品開発及び営業提案を行っております。
現在SDGs・脱プラ対応素材の一つとして「バガス」が注目されています。バガスについて、何かご不明な点やご相談がございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。
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(参考資料)
カーボンニュートラル | 日本プラスチック工業連盟
環境に配慮した食品容器包装設計の取り組み – 農林水産省
プラスチック製容器包装 – 東京都環境局
3R政策(METI/経済産業省)
この記事を書いた人
チェーンストリーム株式会社 編集部ご覧いただいた担当者さまの新しい気づきや行動につなげられるような記事を執筆しています。編集部には、商品企画、マーケティング、EC事業部、CFP保持者などのメンバーも携わっています。