「空腹を満たす」「栄養を取る」。シンプルな目的を満たす手段だった「食」は、
「食体験」という価値を求めるものに変化。
さらに、時代によってお客様が求める食体験は、変化し続けています。
目まぐるしく変化する食体験の価値。
そして、変化し続ける食体験の価値に対応していくことが、今後の繁盛する飲食店づくりには欠かせないものになるのです。
飲食店が実現できる「食体験」とは
「食体験」とは、食べた人の心が満たされる食事の体験のことです。
喉がカラカラのときに水を飲めば、体の渇きと当時に気持ちも潤わせることができます。
また、ファストフード店の食事であっても、1人よりも気の合う仲間と一緒の方が、大きな楽しみを得られるでしょう。
同じ「食べる」であっても、体験を伴うことでお客様が感じる価値が大きく異なってきます。
そして、お客様が価値を感じられる食体験は、飲食店が作り出せるものであり、繁盛店づくりに欠かせないものなのです。
価値ある食体験の歴史
戦後、文化的・経済的な回復が果たされ、食事の目的にさまざまな価値が加わったことによって、食体験の変化が始まりました。
1970年代 外で食べる
1973年の高度経済成長期収束までに、日本は年平均10%という驚異的な経済成長を遂げました。
豊かになった日本人は、家で食べられないような食事を、飲食店で楽しむことに価値を見出すようになったのです。
1980年代 高級感を感じる
1980年代はバブル期であり、食に対しても出費を惜しまない人が増えました。
マスコミの影響などもあり、「バブルめし」と呼ばれる、高級感を感じられる食事に価値を見出すようになったのです。
1990年代 話題のスイーツを追いかける
バブル崩壊の影響や酒気帯び運転の取り締まりが厳しくなったことにより、飲食店で豪遊する人が激減。
その分、パンナコッタやクレームブリュレなど、次々と登場するお手頃価格のスイーツを味わうことに価値を見出すようになったのです。
2000年代 安心・安全
大手乳業メーカーの集団食中毒事件や狂牛病、食品偽装など、食材レベルで信用を失うような事件が続出。
高くても安心で安全な食事を味わうことに、価値を見出すようになったのです。
2010年代 和食への再認識
2011年の東日本大震災の直後、日経平均株価は約8600円まで値を下げ、消費傾向も内向きに。
さらに、2013年には「和食・日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことにより、和食を味わうことに価値を見出すようになったのです。
2020年代 コロナ渦による変化
コロナ渦を経験して、食体験の価値も大きく変化しました。
外出自粛によって、デリバリーの文化が定着。
そして現在でも、外食に求められる食体験の価値は、年々変化を遂げています。
これから流行る食体験の価値とは
流行する食体験の価値は、その時代の経済状況と大きく関連してきました。
今後の経済状況と消費動向
コロナ渦から回復してきている日本経済は、24年以降も緩やかな回復が見込まれています。
さらに、24年の後半には実質賃金もプラス転化されると分析されています。
今後、個人消費も緩やかに持ち直すと予測されるでしょう。
これから流行る食体験の価値とは
経済状況と消費動向から考えていくと、今後は以下のような食体験に価値が見いだされるといえるでしょう。
現地そのままの海外料理
大幅な円安のため、海外旅行する日本人の数は落ち込みを見せています。
その分、海外の味を日本で楽しもうという動きが大きくなる傾向に。
2022年の流行語大賞にもノミネートされた「ガチ中華」など、日本人向けにアレンジしていない味付けを楽しむ食体験に価値が見いだされるでしょう。
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料理とドリンクのペアリング
「和食と日本酒」「フレンチとワイン」など、料理と相性のよいお酒のペアリング。
最近ではスターバックスが、提供しているフードと最も相性のよいコーヒーを推奨する「フードペアリング」を展開。
「食べ物で失敗したくない」というZ世代の心理から、食体験の価値として人気を集めています。
アフタヌーンティー様式
「アフタヌーンティー」は、正式な様式からのアレンジがすすんでいます。
アフタヌーンティースタンドに乗った数種類のおつまみをアルコールで楽しんだり、和風のスタンドに乗った手の込んだ和食を日本茶で味わったり。
価格が高くても非日常を楽しみたい、そんな心理を満たす食体験の価値といえるでしょう。
少量・多種の料理を味わう
日本に1ケ所しかない「スターバックス リザーブロースタリー東京」では、
回ってくるワゴンから小皿に盛り付けられた美しい料理を自分でチョイスできるイベントを実施し、大好評を博しています。
また、若者を中心に人気の「新大久保の食べ歩き」も、少量・多種の料理を味わう食体験の価値で人気となっています。
まとめ
お客様に価値を感じてもらえる食体験は、時代によって変化してきています。
そして、今後の食体験の価値も、めまぐるしく変化していくと考えられるのです。流行を追い求める人はいつの時代にも多数存在し、その本質は変わることがありません。
ですから、過去のパターンを分析し理解することで、これから流行る食体験の価値を予測することができるのです。
この記事を書いた人
チェーンストリーム株式会社 編集部ご覧いただいた担当者さまの新しい気づきや行動につなげられるような記事を執筆しています。編集部には、商品企画、マーケティング、EC事業部、CFP保持者などのメンバーも携わっています。